先日、長女の通うピアノ教室の発表会がありました。現在7歳の長女は4歳からピアノを始めて、今回3度目の発表会です。
昨年は悔しい結果に
昨年の発表会では、練習ではしたことのないようなミスをして本人にとって大いに悔いが残る結果となってしまいました。出番を終えた長女を迎えに行くと目にいっぱいの悔し涙。そのときの姿が今もありありと目に浮かびます。
実はこの一年間、長女はずっと引きずっていました。発表会での失敗をたびたび思い出してはズーンと沈んでしまうことや、ピアノ=苦手という意識まで芽生えてしまったのです。ピアノの練習が嫌になり、「どうせへたくそやもん!」となかば投げやりになってしまうことも。私とぶつかることも多々ありました。
ピアノを幼少期から続けていて多少は分かるし弾けるという自負がある私から見て、長女は決してピアノが下手なんかじゃありません。むしろ上手な子だという認識です。ピアノの先生にも「この子は弾ける」と仰っていただいたこともあります。その長女がすっかり自信を無くしてしまうほどに、昨年の発表会はトラウマのようになっていました。
高まる緊張
今回の発表会に向けて半年以上前から練習を開始しましたが、ノーミスで弾くのはなかなか難しく、さらに今年はペダルにも挑戦しました。初めてのペダルに四苦八苦しながら、練習を繰り返しました。
昨年のことがあるので発表会が近づくにつれ長女も緊張感が高まっていたようです。1週間前には「発表会めっちゃ嫌や」と呟くこともしばしば。私もピアノを習っていたときは毎年の発表会が憂鬱だったのを思い出しました。早く終われとそればっかり願うんですよね。大人になって振り返ると良い経験やったなあ、貴重な体験やったなあと感じるんですけどね。
リベンジ発表会
さて今年の発表会、緊張する長女を舞台袖へ送り届け客席で私もドキドキしながら長女の出番を待ちます。
いよいよ名前が呼ばれ、演奏が始まりました。客席から無言のエールを送り続けます。
結果・・・めっちゃ上手に弾けました!冗談抜きで、今までで一番良かったんじゃないかな。ありったけの拍手を送りました。
ごくごく細かいミスはあったものの上手くごまかせていたし、止まらずに、弾き直しもなかった。長女の力を存分に発揮できた演奏でした。親フィルター抜きにしても素晴らしい演奏でしたよ。
早く褒めてあげたい!と超特急で舞台袖へ迎えに行くと長女もニッコニコ。本人も満足のいく出来だったようです。昨年のリベンジを立派に果たせたね!
本番の重み
発表会で上手に弾けるに越したことはないのですが、たとえ本番でミスしてしまったとしても経緯が大切ですよね。本番一発の演奏の良し悪しで、積み重ねた練習が無かったものになるはずがないのです。
目標に向けて練習することが何よりも大事。そんなことは大前提で話しますが、本番で失敗してしまうと本人の心にずっと残ってしまうのですよ。「結果よりも過程が大事」本人の立場からすると「そんな綺麗事はええねん」。
切り替えが上手な子ならそんなこともないのかもしれませんが、現に長女は昨年の失敗を一年間引きずりました。どんな言葉で励ましても思い出しては落ち込む日々。引きずって引きずって、ピアノが嫌になりながらも練習を続け、あのトラウマの舞台でもう一度挑戦する。7歳の子にとって大変な重圧だったことと思います。
もし今回も失敗したら、いよいよ本気でピアノを辞めてしまいたくなるかもしれない。そんな不安と共に迎えた本番でした。これ以上自信喪失させるような経験は辛い。だから絶対成功させてあげたいという気持ちで声かけを行っていました。
長女にかけた言葉
「今間違えておいてよかった」
発表会直前の練習で間違えると不安になりますよね。本番も間違えたらどうしようって。そんなとき「今のうちに間違えておいてよかったよ。そしたら本番ではここ気を付けて弾こうって注意できるからね」と話しました。練習での間違いは本番での成功のもと。直前の練習は焦りがちですが、プラス思考で練習できるといいですよね。
「大切な人に聴かせるために弾こう」
発表会の会場にはたくさんの人がいるから緊張するんですよね。でも知らない人ばかりじゃない。長女の発表会にはパパママ弟に加え、おじいちゃんおばあちゃん、仲良しの従姉妹も来てくれました。「たくさんの知らない人じゃなくて、長女ちゃんの大切な人に聴いてもらうために弾くって考えよう」そう話すと確かにその方が緊張が和らぐと長女も感じたようです。家族親戚お友達…自分の大切な人に向けて演奏するんだと考えると、自然と力が湧くのかもしれません。
成功と失敗どっちも経験してなんぼ
長女は今年の発表会でピアノに対する苦手意識を払拭できた様子でした。やはり本番で上手く弾けたことが長女の心に自信を取り戻してくれたようです。
”本番だけがすべてではない”それはもちろんそうですよ。ただやっぱり本番での出来は本人の心に大きく残ります。でも誤解してほしくないのは、失敗は悪いことじゃないんです。失敗から学ぶことがたくさんあるし、こういう経験も糧になるんですよね。じゃあどうしようって考えるきっかけにもなる。その時の本人はめっちゃ嫌やと思いますが、大人になってからああいう経験もしとくもんやなって思う日が来るでしょう。
少なくとも長女は今年の発表会で昨年の悔しさを昇華することができました。間違いなくかけがえのない経験です。この先も成功と失敗を繰り返しながら、泥臭くピアノに向き合ってくれたらいいなと考える母でした。