わたくし大学で言語学や音声学を少々かじったことがあるのですが、その時の学びを子供が生まれてから実感することが多々あります。なかでも長男の“言い間違い”です。
もともと言葉が遅めだった長男。2歳半健診では言葉の遅れを指摘されたこともありましたが、3歳前頃からメキメキと語彙力をつけてきて今では上手に会話できるようになってきています。たくさん言い間違いをしながら、一生懸命話す姿が可愛いんですよね。
こんな可愛い言い間違いも今のうちだけ。数年後にはスラスラと生意気な口をきいているのかもしれません。3歳である今だけの可愛い言い間違いを、忘れないように記録も兼ねて深掘りしてみます。
子音の置き換え
うろ覚えですが、音声学だか音韻論だかの授業で、子供の言語習得の過程で子音がより発音しやすい音に置き換わるというものがありました。
長男は「コイン」を「ポイン」、「クッパ」を「プッパ」と言います。
コイン【KOIN】→ポイン【POIN】(KがPに置き換わる)
クッパ【KUPPA】→プッパ【PUPPA】(KがPに置き換わる)
マ行やパ行など唇を合わせて発音する音は子供も言いやすく、のどの奥で発音するカ行は発音が難しい。よって発音しやすいPの音に置き換えているというわけです。
なるほどこれが大学で習ってたやつか…!と10年以上の時を経て身をもって体験しています。
今気づきましたがコインもクッパもマリオ絡みでした…長男マリオ好きすぎるぜ。
子音の入れ替え
単語のなかで子音が入れ替わるという言い間違えも多いです。こちらも言語学で学びました。
長男は「つくる」を「くつる」、「どろぼう」を「どぼろう」、「じゃがいも」を「がじゃいも」と発音します。
つくる【TSUKURU】→くつる【KUTSURU】(TSとKが入れ替わる)
どろぼう【DOROBOU】→どぼろう【DOBOROU】(RとBが入れ替わる)
じゃがいも【JAGAIMO】→がじゃいも【GAJAIMO】(JとGが入れ替わる)
夫も私も「どぼろう」がツボで、訂正する前についつい笑ってしまうんですよね。
置き換え・入れ替えミックス
長男の言い間違いを言語学的に分析するとなかなか面白く、ついに子音の置き換えと入れ替えが同時に起こっている言い間違いを発見しました。
「おつくり」です。
「お造り?お刺身?」と私も最初は思いました。実はこれ「おくすり」を言い間違えているのです。
①おくすり【OKUSURI】→おくつり【OKUTSURI】(SがTSに置き換わる)
②おくつり【OKUTSURI】→おつくり【OTSUKURI】(KとTSが入れ替わる)
①②のツーステップで言い間違いが起きているんです。
「パツライツ」これはなんと「サプライズ」を言い間違えています。
①サプライズ【SAPURAIZU】→パスライズ【PASURAIZU】(SとPが入れ替わる)
②パスライズ【PASURAIZU】→パツライツ【PATSURAITSU】(SとZがTSに置き換わる)
もちろん本人は入れ替えやら置き換えやら考えるわけもなく瞬間的に「おつくり!」「パツライツ!」と発音しているわけですが、こうして分析してみるとロジカルな感じがして面白いですね。
それにしても「パツライツ」には苦労させられましたね。「サプライズ」を言い間違えているのだと理解するのに時間かかりました…。私がなかなかピンと来ないもんだから長男もだんだん怒り出すし、泣きわめきながらの「パツライツ!」はほとんど原型をとどめておりませんから。
”言い間違い”は尊い
子供が小さいうちだけの言い間違い。子育てのなかで感じる尊い瞬間です。ただでさえ可愛い言い間違いも、深掘りしてみるとより一層心に刻まれますね。
大学で学んでいたことを、時を超えて我が子で実感するという経験もなかなか感慨深いものがあります。当時は「ふ~んそうなんや~」くらいにしか思っておりませんでしたが、実際子供が生まれると「あの時習ったやつや!!」とテンション上がります。
長男の言い間違いにアンテナを張りつつ、気はあまり張らずに気楽に子育て、楽しんでいきたいですね。